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俳句

女性のための、元気になれる俳句79 選・如月美樹 花粉症人事企つ男にも 能村研三

  花粉症は、『新日本大歳時記』(講談社)によると、植物の部で「杉の花」の傍題に分類されている。が、『今はじめる人のための俳句歳時記』(角川ミニ文庫)によると、生活の部に項目が立っている。どちらにしても、...

(俳句 : 10/03/16)

 
 

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女性のための、元気になれる俳句78 選・如月美樹 チューリップ喜びだけを持つてゐる 細見綾子
  世間は「冴え返って」いる。空気が冷たく、風も強く、なかなか部屋が暖まらない。こんなときこそ、気持ちがあたたかくなる句を読みたい! そこで掲句。子どものころは、花といえばチューリップ...
(俳句 : 02/23)
 
女性のための、元気になれる俳句77 選・如月美樹 冴返る夜やトルソーに叫び声 大野今朝子
  このところの気候は、まさに「冴返る」。春を迎えたのに寒さがぶり返すことだ。トルソーとは「手・足・頭部を欠くかあるいは省略した胴体だけの彫像」(大辞林)。掲句は、白く、顔のないその彫...
(俳句 : 02/16)
 
女性のための、元気になれる俳句76 選・如月美樹 冬終る封筒の中空色に 有馬朗人
  暦の上ではもう春なのだけれど、あえてこの句を選んでみた。というのも、つい先日、いただきものをした時、真っ白な紙袋の中が鮮やかな空色だったことがちょっとうれしかったからだ。白い袋は中...
(俳句 : 02/09)
 
女性のための、元気になれる俳句75 選・如月美樹 鳥葬のなき世に群るる寒鴉 檜 紀代
  鳥葬とは、死体を野に置いて鳥の食べるにまかせるという葬法のこと。死体を大気にさらす風葬と組み合わせられており、今でもチベットとインドの一部で行われているとか。テレビで見た記憶がある...
(俳句 : 01/25)
 
女性のための、元気になれる俳句74 選・如月美樹 凍蝶も記憶の蝶も翅を欠き 橋本多佳子
  冬の季語「凍蝶」を使った俳句には素敵なものが多いと思うのだけど、この句はぱらぱらと句集をめくっていて今日初めて発見した。句集というものはなかなかおもしろい。それをひもとくときの季節...
(俳句 : 01/18)
 
女性のための、元気になれる俳句73 選・如月美樹 寒の内このやうな日のあることを 星野立子
  1月5日か6日の小寒の日から節分、つまり立春の前日までを寒の内という。本格的な寒さの時期だ。作者は「このような日」が来るだろうということを、あらかじめ予想していたように思われる。漠...
(俳句 : 01/12)
 
女性のための、元気になれる俳句72 選・如月美樹 ストーヴに椅子ひきよせて読む書かな 杉田久女
  久女の読書の句は多いが、この句からも伺えるように、かなり勉強熱心だったらしい。私も、今ほど家中があたたかくなかった子どもの頃は、ストーブの側に張り付いていたものだ。夢中で漫画を読ん...
(俳句 : 12/25)
 
女性のための、元気になれる俳句71 選・如月美樹 短日の望遠鏡の中の恋 寺山修司
  めっきり日が短くなった。冬至に向かって、まだまだ短くなる。「短日」はそんなようすを表す冬の季語。「夜長」が秋の季語だということを考えると、なかなかおもしろい。昔の人は季節を理屈でな...
(俳句 : 12/14)
 
女性のための、元気になれる俳句70 選・如月美樹 凍蝶のふと翅つかふ白昼夢 野澤節子
  女学校時代に脊椎カリエスを病み、中退して長い間病にふせっていた作者は、それゆえ自己の内面を見つめる冷徹な視点を持ち続けることができたと後に述懐している。「凍蝶(いてちょう)」は、冬...
(俳句 : 12/08)
 
女性のための、元気になれる俳句69 選・如月美樹 百年千年夢見て青き冬景色 寺井谷子
  リメンバー。10年前の世の中はミレニアム商戦真っ盛りだった。ミレニアムとは千年紀のことだが、まさかそれが商売になるとは、千年前の人は思いもよらなかっただろう。「ミレニアム・クリスマ...
(俳句 : 11/30)
 
女性のための、元気になれる俳句68 選・如月美樹 かりに着る女の羽織玉子酒 高浜虚子
  この句を初めて見たとき、「虚子もなかなかやるじゃん」と思った。玉子酒というからには、少し風邪気味なのだろう。虚子先生ほどのお方だから自分で作ったわけではなく、家人か娘、あるいは弟子...
(俳句 : 11/24)
 
女性のための、元気になれる俳句67 選・如月美樹 「The Long and Winding Road」渋滞に時雨くる 正木ゆう子
  初冬のにわか雨のことを時雨という。車の運転席か、あるいは助手席にいるのか。テールランプが連なっている。雨が降り出した。静寂にワイパーの音。ラジオのスイッチを入れると、昔聴いたビート...
(俳句 : 11/18)
 
女性のための、元気になれる俳句66 選・如月美樹 冬来たる眼をみひらきて思ふこと 三橋鷹女
  冬がやってきた。しんと澄んだ空気、きらきらした物音の輪郭。小さなものもたまらなく愛おしく感じる季節だ。 目を見開くのは、周りの何かをよく見るためだけではない。己の心のうちをも深く見...
(俳句 : 11/09)
 
女性のための、元気になれる俳句65 選・如月美樹 銀漢や原子力発電所無音 奥坂まや
  巨大で、昼間は騒がしい工場ほど、夜の底知れない静けさが恐ろしく感じる。子供の頃住んでいた工業地帯の夜の景色の記憶は、今でも鮮やかな静けさの記憶だ。 現代科学の粋を集めた原子力発電所...
(俳句 : 11/02)
 
女性のための、元気になれる俳句64 選・如月美樹 肌寒と言葉交せばこと足りぬ 星野立子
  いきなり寒くなった。私の周囲には体調を崩す人が多いけれど、みなさんはいかがだろうか。掲句、知人か、道ですれ違った人か、あるいは家人か。「肌寒くなりましたねえ」「ええ、本当に」と挨拶...
(俳句 : 10/26)
 
女性のための、元気になれる俳句63 選・如月美樹 ふるさとも南の方の朱欒かな 中村汀女
  朱欒(ザボン)は、人の頭くらいの大きな黄色い実を生らせる。初めて見るとギョッとするくらい大きい。皮は厚さ1センチ以上もある。ざっくりと剥くと中の果肉は白っぽく、食べてみると汁気が少...
(俳句 : 10/13)
 
女性のための、元気になれる俳句62 選・如月美樹 コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ 鈴木しづ子
  この句を見たとき、通常、「コスモスがやさしい風に揺れていた、それを見ていたら死ぬなんてことはできないよ」という意味だととらえる。作者は死にたいと思っていたのか。それはなぜなのか。は...
(俳句 : 10/07)
 
女性のための、元気になれる俳句61 選・如月美樹 水引草目が合ひて猫立停る 石田波郷
  水引草は、むちのような細長い花穂に、小粒の赤い花を点々とつける。花を上から見ると赤、下から見ると白で、ご祝儀袋などに使う水引に似ているからこの名があるとか。私の家の近所にもたくさん...
(俳句 : 09/28)
 
女性のための、元気になれる俳句60 選・如月美樹 サフランや印度の神は恋多き 正木ゆう子
  サフランってどんな花だろう、と思って植物図鑑で眺めていたら、なんと近所の庭先に咲いているのを見つけてしまった。江戸時代に薬用植物として渡来した球根植物で、ろうと状の紫色の花に、おし...
(俳句 : 09/24)
 
女性のための、元気になれる俳句59 選・如月美樹 秋風や射的屋で撃つキューピッド 大木あまり
  秋祭の景か。射的屋に足を止めたのは、子どもではなく大人の女性。彼女がキューピッドを撃つというのだ。天使の矢に射られることで恋が始まる、という俗信の逆をいくわけだ。的は自分自身か、思...
(俳句 : 09/14)
 
女性のための、元気になれる俳句58 選・如月美樹 無花果の暗き深紅を煮つむべし 黒田杏子
  この季節、無花果(イチジク)の実が八百屋の店先(スーパーの野菜コーナー?)に山積みされている。残念ながら自然の状態で木になっている無花果を実際に見たことはないが、あの実を見ると、い...
(俳句 : 09/08)
 
女性のための、元気になれる俳句57 選・如月美樹 朝顔やすでにきのふとなりしこと 鈴木真砂女
  朝顔は秋の季語。早朝、花を開いた朝顔を見て、昨日という時がもう過ぎ去ったものなのだと改めて知る。それは美しく甘い記憶なのか、辛い記憶なのか。 どちらにしても、人は今という時にしか存...
(俳句 : 08/24)
 
女性のための、元気になれる俳句56 選・如月美樹 七夕の雨来て姉妹翼とぐ 八木三日女
  今年の旧暦七夕は8月26日。俳句では七夕のことを「星の恋」ともいう。この美しい季語のことを、俳句を知らない友人に話したら、「恋になるまでは星ほど遠いけれど、それが愛に到達するにはさ...
(俳句 : 08/17)
 
女性のための、元気になれる俳句55 選・如月美樹 いつの間にがらりと涼しチョコレート 星野立子
  「涼し」が夏の季語だときいて、意外に思う人もいるかもしれない。暑い夏の日、不意に風が通り抜けていくときなどに感じる、ほんのひとときの涼しさ、また、玄関先の打ち水などに感じる心理的な...
(俳句 : 08/03)
 
女性のための、元気になれる俳句54 選・如月美樹 夜濯ぎを干す音楽のある部屋に 能村研三
  夜濯ぎ(よすすぎ)は、夜に洗濯すること。ちょっとしたものを手で洗って、夜風に吹かれ、星を眺めながら干すという、情緒がただよう季語である。以前は、たらいに水を張って洗っていたのだろう...
(俳句 : 07/27)
 
女性のための、元気になれる俳句53 選・如月美樹 らんらんと星ひとを恋ふ籐寝椅子 橋本美代子
   見るからに涼を誘う籐椅子は、大正のころから俳句に見られるようになった新しい季語。当時はモダンな印象があったという。  掲句、「らんらんと星」で一度意味が切れる。春の淡い星、冬のき...
(俳句 : 07/21)
 
女性のための、元気になれる俳句52 選・如月美樹 青い薔薇あげましょ絶望はご自由に 池田澄子
   季語は薔薇。中世のヨーロッパでは、薔薇の品種改良をおこなっていた職人が、秘密を漏らさないよう処刑されることもあったという。その昔から、誰も見たことのない薔薇の色をつくりたいと人々...
(俳句 : 07/10)
 
女性のための、元気になれる俳句51 選・如月美樹 紫陽花の醸せる暗さよりの雨 桂信子
   俳句は短い。しかも季語を入れるという約束もある。つまり、17音しかない中で、無駄なことは言えないということだ。俳句においては、何事も断定した方がいい。たとえば、ひとむらのアジサイ...
(俳句 : 07/01)
 
女性のための、元気になれる俳句50 選・如月美樹 万緑や死は一弾を以て足る 上田五千石
   見渡す限りの緑、緑。「万緑(ばんりょく)」は、文字通りそういう意味であるが、夏にみなぎる大地の生命力をもあらわす。昭和に成立した、比較的新しい季語だ。  万緑に象徴される生命、し...
(俳句 : 06/08)
 
女性のための、元気になれる俳句49 選・如月美樹 汗臭き鈍の男の群に伍す 竹下しづの女
  「鈍」は「のろ」と読む。季語は「汗」。夏の季語である。「額に汗して働くグズな男どもに自分も伍して働いていくのだ」という決意。1920年(昭和15年)に発表されたことを考えると、いか...
(俳句 : 05/18)
 
女性のための、元気になれる俳句48 選・如月美樹 百合剪つてくれし少年尼僧めく 中村苑子
   暦の上ではもう夏。百合は夏の季語だ。  萩尾望都や竹宮恵子の漫画に出てくる少年たちに胸をときめかせた少女時代。あの頃、私にとって、少年はいつも聖なる存在だった。  掲句、百合を切...
(俳句 : 05/11)
 
女性のための、元気になれる俳句47 選・如月美樹 つばくらめナイフに海の蒼さあり 奥坂まや
  「つばくらめ」はツバメの和名。彼岸のころ南方からわたってくる、春の到来を感じさせる鳥だ。すいと飛ぶツバメは、目の前の景色を自在に切り裂いていく。その印象は、陽に輝く海のきらめきにも...
(俳句 : 04/20)
 
女性のための、元気になれる俳句46 選・如月美樹 天よりもかがやくものは蝶の翅 山口誓子
   しばしば美しいものの代名詞とされる、と歳時記にあるが、蝶が苦手だという人は多い。私の高校時代の友人にもいた。しかし、蝶のほうはおかまいなく、彼女めがけて飛んでくるのだ。ひらひらと...
(俳句 : 04/13)
 
女性のための、元気になれる俳句45 選・如月美樹 家深くゐて花時の素顔かな 長谷川双魚
  「花」といえば「桜」をさすのが季語の決まりごと。桜という花が日本人のこころに深く関わってきた証だといえる。とはいえ、花は桜、となったのは平安時代以降のことで、それまでは花といえば梅...
(俳句 : 04/06)
 
女性のための、元気になれる俳句44 選・如月美樹 一落花琴線を掻き鳴らしたる 後藤比奈夫
  「昨日の風でもう桜もおしまいね」。こう言う人がいた。彼女は落花の舞い散るさまには興味がなく、「ああ、満開をすぎてしまった」と思うだけなのだという。  私は、咲き始めよりも満開よりも...
(俳句 : 03/30)
 
女性のための、元気になれる俳句43 選・如月美樹 スープに浮ぶ灯すべて乱してさくらの夜 桂信子
   特別な意味なんてないのだ。桜の咲く夜。晩餐のスープに映る幾多の光。それをスプーンですくうとき、すべての灯が乱れたというのだ。ただそれだけのことを詠んだにすぎない。しかし、この句が...
(俳句 : 03/23)
 
女性のための、元気になれる俳句42 選・如月美樹 恋猫の恋する猫で押し通す 永田耕衣
   初めて猫を飼ったときは、発情というものを知らずに、ふだんと違うあの騒々しい声にただただ驚き、気が狂ってしまったとしか思えなかった。動物病院に連れていったら、獣医に大笑いされた。 ...
(俳句 : 03/16)
 
女性のための、元気になれる俳句41 選・如月美樹 ふだん着でふだんの心桃の花 細見綾子
   飾らぬ普段着で普段の心。当たり前のようだが、よく胸に手を当てて考えてみる。果たしてそうなのか?  私たちは、外面を装うことだけを身につけてはこなかったか。その実、心に違う感情を飼...
(俳句 : 03/09)
 
女性のための、元気になれる俳句40 選・如月美樹 美しき厄を山積み雛の船 鷹羽狩行
  「雛の船」とは、流し雛を乗せた船。流し雛とは、3月3日、川辺から雛を流す風習のことだ。古くは、祓いに使った形代を、ケガレを移されたものとして川に流した。その様子は『源氏物語』にも書...
(俳句 : 03/02)
 
女性のための、元気になれる俳句39 選・如月美樹 如月から弥生へぬける猫の足 柿本多映
   如月は旧暦の二月、弥生は三月のこと。俳句的な季感では仲春から晩春ということになろうか。  寒い季節にはまるくなっていた猫が、足音もなく歩いていく。そのさまを、季節が移り変わってい...
(俳句 : 02/23)
 
女性のための、元気になれる俳句38 選・如月美樹 氏素性なくて美し春灯 吉屋信子
   小説家である信子が、俳句もよくするようになったのは、戦時中に小説を発表することを禁じられたときからだという。掲句には、「某妓を見て」とある。酒席を楽しませてくれる芸妓は、その場限...
(俳句 : 02/16)
 
女性のための、元気になれる俳句37 選・如月美樹 三寒に発ちて四温に戻る旅 稲畑汀子
   三寒四温は冬の季語だが、いま頃の実感だろう。テレビのお天気ニュースなどでもさかんに使われる言葉だ。 「三寒四温」という言葉が分離できないものだと思い、以前、「三寒四温十五分マッサ...
(俳句 : 02/09)
 
女性のための、元気になれる俳句36 選・如月美樹 どこからが春どこからか春立ちぬ 津根元 潮
   2月4日は立春、暦の上では春のはじまりだ。とはいえ、実際は、日本列島がもっとも冷えている頃である。  思うに、やはり私達は旧暦で生活したほうがいいのではないだろうか。そうすれば、...
(俳句 : 02/02)
 
女性のための、元気になれる俳句35 選・如月美樹 顔上げよつららがつらら着る夜も 櫂未知子
   つららがつららを着る、とは、一度、あたたかい日差しで溶けかけたつららが、また厳しい寒さで凍ってしまうことのたとえだろうか。  厳しい状況が続いていながら、そんな夜でさえも、顔を上...
(俳句 : 01/26)
 
女性のための、元気になれる俳句34 選・如月美樹 寒玉子狂ひもせずに朝が来て 岡本眸
   寒中の鶏卵は、ことのほか栄養価が高いらしい。また、この時期は産卵期でもある。というわけで、「寒卵」は冬の季語である。ニワトリは一年中同じ割合で卵を産むのだと思っていた私には、驚き...
(俳句 : 01/19)
 
女性のための、元気になれる俳句33 選・如月美樹 白鳥の胸を濡らさず争へり 吉田鴻司
   白鳥は冬の季語。胸を濡らさず争う、という表現を「たとえ争うときでも、誇りを失わないことだ」と説明してくれた人がいた。実際、俳壇でもこの句はそのように解釈されているようだ。  果た...
(俳句 : 01/13)
 
女性のための、元気になれる俳句32 選・如月美樹 日本がここに集る初詣 山口誓子
   みなさん、あけましておめでとうございます。  さて、新年といえば初詣。私は地元の小さな神社に行くのだが、人気の神社までわざわざ出かける人も多いようで、テレビではその混雑ぶりが紹介...
(俳句 : 01/05)
 
女性のための、元気になれる俳句31 選・如月美樹 柔かき海の半球クリスマス 三橋敏雄
   よく「俳句は自然を詠むものだ」というが、街に流れるクリスマスソングを聞いて冬を実感し、テレビで『行く年来る年』を見て大晦日を実感する現代人に、大自然もへったくれもあったもんじゃな...
(俳句 : 12/22)
 
女性のための、元気になれる俳句30 選・如月美樹 あこがれはオリオンの裏側のやみ 鎌倉佐弓
   夜、オリオン座が南の天高くのぼる時期になると、冬だなあという思いを強くする。天体望遠鏡を買ってもらった小学生のとき、将来は天文学者になりたいと夢見ていた。星の物語であるギリシャ神...
(俳句 : 12/15)
 
女性のための、元気になれる俳句29 選・如月美樹 息白くして愛しあふ憎みあふ 鷹羽狩行
   空気がきりりと引き締まって、吐く息が白くなると、まさしく冬。 「息白し」という季語は力強い生命力をあらわす。この句を読んで初めてそう思った。愛することも、憎むことも、途方もないエ...
(俳句 : 12/08)
 
女性のための、元気になれる俳句28 選・如月美樹 凍蝶のふと翅つかふ白昼夢 野澤節子
   女学校時代に脊椎カリエスを病み、中退して長い間病にふせっていたという作者は、それゆえ自己の内面を見つめる冷徹な視点を持ち続けることができたと後に述懐している。 「凍蝶(いてちょう...
(俳句 : 12/01)
 
女性のための、元気になれる俳句27 選・如月美樹 絨毯の美女とばらの絵ひるまず踏む 柴田白葉女
  「絨毯」は冬の季語。昔はぜいたくなものだったに違いない。  美女と薔薇の絵が描かれた絨毯は、きっと訪れたお屋敷に敷かれたものだったろう。鮮やかに浮かび上がった美女と薔薇。その美しさ...
(俳句 : 11/25)
 
女性のための、元気になれる俳句26 選・如月美樹 八ツ手散る楽譜の音符散る如く 竹下しづの女
   このところ、民家の軒先に八つ手の花が咲いているのをよく見かける。俳句を始めるまでは、目にもとまらなかった花だ。葉が派手なだけに地味な印象だが、よく見ると白い小さな花が球状に固まっ...
(俳句 : 11/17)
 
女性のための、元気になれる俳句25 選・如月美樹 許したししづかに静かに白息吐く 橋本多佳子
  「白息」は冬の季語。吐く息が白く見えるようになったら、本格的な冬の到来だ。  ところで、許すということはもっとも難しい行為のひとつだと思う。それは、過ちも含め、相手のすべてを受け入...
(俳句 : 11/10)
 
女性のための、元気になれる俳句24 選・如月美樹 くらがりへ人の消えゆく冬隣 角川源義
   暦の上ではもうすぐ冬。冬が近くなってくるとなんだか追われているような気になる。毎日少しずつ早くなる日暮れ、寒くなる朝。いまはどこに行っても冷暖房完備、ファッションもシーズンレスで...
(俳句 : 11/03)
 
女性のための、元気になれる俳句23 選・如月美樹 ゆく秋の廻れよ電子レンジの皿 池田澄子
   暦の上ではもう晩秋。冬も近い。今年は残暑の時期が長かっただけに、あまり実感がわいてこないが、「ゆく秋」という季語はちょうど今頃使う言葉だ。  さて掲句。理屈ではなく感覚で詠んでい...
(俳句 : 10/27)
 
女性のための、元気になれる俳句22 選・如月美樹 〜胡桃割る閉じても地図の海青し 寺山修司〜
   胡桃を割るという行為には孤独を感じる。ぱちんと胡桃の殻を割って中を取り出すとき、きっとそこには他に誰もいないだろう。  地図は、傍らに置かれているのではない。どこか、この場所から...
(俳句 : 10/20)
 
女性のための、元気になれる俳句21 選・如月美樹 〜木犀をみごもるまでに深く吸ふ 文挟夫佐恵〜
   モクセイが香り始めた。姿を見てそれと知るのではなく、街中にあふれる香りから、その花の咲いたことを知るという不思議な存在だ。  掲句は、きっと男性にはわかりづらいだろう。しかし、女性で...
(俳句 : 10/14)
 
女性のための、元気になれる俳句20 選・如月美樹 〜この径は罠かも知れず曼珠沙華 植村通草〜
 径は「みち」と読む。曼珠沙華は、いわゆるヒガンバナのこと。今、いろんな場所で赤い花を目にする時期だ。  何もなかった場所に、突然、すっと茎がのびて炎のような花を咲かせるので、なに...
(俳句 : 10/06)
 
女性のための、元気になれる俳句19 選・如月美樹 〜コスモスも切符の色も淡き旅 中嶋秀子〜
   コスモスは、高地では濃くくっきりとした色になるが、平地ではあまり色が出ないのだそうだ。淡い色のコスモスの中を行く旅は、きっと気軽な小旅行。もしかしたら、同じ街の中なのに、一度も行った...
(俳句 : 09/29)
 
女性のための、元気になれる俳句18 選・如月美樹 〜秋の夜の指を祈りの型に組む 横山房子〜
   これから祈ろうとしているのだろうか。しかし、ふと見た自分の指が、祈りの形だった、とも思える。長く静かな秋の夜。そうと意識しないうちに祈りが始まっていたのかもしれない。  意志的であ...
(俳句 : 09/22)
 
女性のための、元気になれる俳句17 選・如月美樹 〜女一人佇てり銀河を渉るべく 三橋鷹女〜
  「銀河」は秋の季語。銀河を渉(わた)るというのは、かなり強い意志があるのだと思える。発表当時の女性の地位を考えて読んでもいいし、現代に読み直してもいい。 句の中身は「銀河を渡ろうと、女...
(俳句 : 09/15)
 
女性のための、元気になれる俳句16 選・如月美樹 〜月の夜へけものを放ち深く眠る 大西泰世〜
  「月」は秋の季語。ではほかの季節はというと、「春の月」「夏の月」など、季節の名前をつけて使う。秋という季節にとって、「月」は特別な存在なのだ。  月の夜に放った獣は、たとえば飼っている猫という実際...
(俳句 : 09/08)
 
女性のための、元気になれる俳句15 選・如月美樹 〜秋の夜の触れねば音を持たぬ鈴 野見山ひふみ〜
   秋の夜は、にぎやかな夏の夜と比べて、静けさと長さが際立つ。ゆえに、それまで目にもとまらなかったことがふと気になったりするものだ。  掲句に登場する鈴もそうなのだろう。ひっそりと置かれ...
(俳句 : 09/01)
 
女性のための、元気になれる俳句14 選・如月美樹 〜月光写真まずたましいの感光せり 折笠美秋〜
   季語は「月光」。日光写真に感光するのは形あるものだけれど、ひそやかな月光だったら、目には見えないもの、それもまず心から感光するのかもしれない。愛も哀しみも恐れも喜びも、すべて内包した...
(俳句 : 08/25)
 
女性のための、元気になれる俳句13 選・如月美樹 〜朝顔の咲き放題にいつも留守 石橋秀野〜
   夏の花というイメージのある朝顔だが、実は秋の季語である。  今では、鉢に植えられて、花を咲かせた状態で売られている朝顔。切り分けたスイカのような形の種を植えて、地面に竹を刺し、つるを...
(俳句 : 08/18)
 
女性のための、元気になれる俳句12 選・如月美樹 〜新涼やたしなまねども洋酒の香 中村汀女〜
   暦の上ではもう秋。秋になって感じる、それまでとは違う涼感をいう季語が「新涼」である。いかにもさわやかで、私の好きな季語のひとつだ。  掲句、お酒を飲まない作者に、洋酒がふわりと香った...
(俳句 : 08/11)
 
女性のための、元気になれる俳句11 選・如月美樹 〜少年の机に地図と空蝉と 大木あまり〜
   この句の季語である「空蝉(うつせみ)」は、蝉の抜け殻のこと。木の幹などにかじりついた抜け殻を、子供の頃はよく取ってきたものだ。  さて掲句、とある夏休みの景。少年の机の上に広げられた...
(俳句 : 08/04)
 
女性のための、元気になれる俳句10 選・如月美樹 〜遠花火ひとの愁ひをきき流す 柴田白葉女〜
   夏も盛りになってくると、各地でおこなわれる花火大会。人波にもまれて間近に見上げるにぎやかな花火もいいけれど、特に美しいと思うのは、この句の季語になっている「遠花火」である。  遠花火...
(俳句 : 07/28)
 
女性のための、元気になれる俳句9 選・如月美樹 〜さようならさようなら金魚が午後の匂ひせり 栗林千津〜
 夏の午後を過ごすひとりの女性。おだやかな笑みを浮かべている。傍らには、小さな金魚鉢。赤い金魚たちが、彼女の目の中で、時折ひらりと身を翻す。  ゆっくりと、静かに時が流れていく。彼女が「...
(俳句 : 07/21)
 
女性のための、元気になれる俳句8 選・如月美樹 〜逢えぬ日の祭りの中を行き過ぎる 松本恭子〜
   会えないのは好きな人のことだろう。折しも、その日は祭である。たまたま通りかかることになったのか、一人でその中を歩いている女性。祭の華やかさとは対照的な、小さな孤独。  句を読んだ瞬間...
(俳句 : 07/14)
 
女性のための、元気になれる俳句7 選・如月美樹 〜ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂 信子〜
 乳房は女性そのものである、といえる。ある日、それをふと、うとましく思った。自分が女性であるという事実を憂えているということか。  ふところは、衣服、特に和服に覆われた胸のあたりをさす...
(俳句 : 07/08)
 
女性のための、元気になれる俳句6 選・如月美樹 〜百合白くいちにち言葉失せにけり 金田咲子〜
   どうしても言葉が信じられないという思いにとらわれるときがある。何も伝えることができない“言葉”を媒介とするしか、人はわかりあえないのだろうか?  たとえば白い百合。甘く強い香り。無...
(俳句 : 07/01)
 
女性のための、元気になれる俳句5 選・如月美樹 〜今日よりも明日が好きなりソーダ水 星野 椿〜
   季語は「ソーダ水」。昔、デパートのレストランで頼んだ鮮やかなグリーンのものを想像する。きっと、てっぺんにはアイスクリームが乗っているに違いない。あるいは、瓶入りの“三ツ矢サイダー”。どち...
(俳句 : 06/23)
 
女性のための、元気になれる俳句4 選・如月美樹 〜夏帯や運切りひらき切りひらき 鈴木真砂女〜
 気分が少し落ち込んだときは、この句を思い浮かべる。50歳を過ぎてからの、旅館の女将という座を捨てての出奔、その後の妻子ある人との情熱的な恋愛といった、作者の人生と重ね合わせてみることも可能...
(俳句 : 06/14)
 
女性のための、元気になれる俳句3 選・如月美樹 〜日本語の優しすぎたるゆすらうめ 後藤比奈夫〜
 日本語はあいまいな言語だといわれる。主語がなくても成り立つ文章、口ではイエスといいながら、実はノーを表す独特の婉曲語法。だからこそ、俳句という詩が成り立つのだともいえる。諸外国の詩は「わた...
(俳句 : 06/14)
 
女性のための、元気になれる俳句2 選・如月美樹 〜香水の正札瓶を透きとほり 星野立子〜
 ああ、してやられた、と思うときがある。誰もが知っているはずなのに、誰も目をつけなかったことを俳句にしてみせられた時だ。  たとえば「香水」という夏の季語を使って作句しようとするとき、私は“...
(俳句 : 06/14)
 
女性のための、元気になれる俳句1 選・如月美樹 〜梅雨の蝶往復葉書切りはなす 正木ゆう子〜
「梅雨の蝶」と読んで、一度軽く呼吸をしてから続いて「往復葉書〜」と読んでみてほしい。軽く呼吸の入るところが「切れ」である。「切れ」が入ることで、「梅雨どきに見かけた蝶」と「往復葉書」という、...
(俳句 : 06/14)
 
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