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表参道eco日記 - 2 - 箸みがきのススメ。

「はい、みきちゃんのお箸。」

そう言って母がくれた漆の箸。渋めの赤で、人気のキャラクターもついてない、今思えばとても地味な箸が私の記憶の中の「最初の箸」です。

目の前には、白地に藍色でウサギが描かれたお茶碗と黒豆みたいにつややかな漆のお椀。柚子の香りに包まれ、三つ葉の鮮やかな緑に目を奪われて、子どもながらに、きれいだなぁと思っていました。そのどれもが骨董品と呼ばれるもので、お茶碗は古伊万里(こいまり)だと知ったのは、だいぶ時間がたってからのこと。道理で、記憶の中のウサギさんが「鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)」っぽいと思った……。

「箸みがき」に必要な椿油と蜜ろう。

実家が古美術商で、無意識に伝統的なものや古いものに囲まれて育ちました。そんな中でも、家族の思い出につながる箸は私にとって特別な存在。海外に住んだり仕事をしたりする中で暮らしの中の色々なことを簡略化するようになっても、箸だけはこだわって選んでいます。ただ、今使っている木箸にはひとつだけ悩みが。深みのある色合いを気に入って買ったのに、毎日使ううちにカサカサと白っぽくなってきたこと。使い心地が良いだけに残念に思っていました。

そんな悩みをあっという間に解決してくれたのが、箸のコンシェルジュとして頼りにしている『銀座夏野』青山店。都心初の箸専門店として10年前に銀座にオープンした、いわば箸のセレクトショップです。店内を埋め尽くす箸の数は2500種類以上。専門知識が豊富なお店の方のアドバイスで箸選びが楽しめるので、2002年に表参道にお店ができてからは度々お邪魔している私のお気に入りのスポットです。

夏野の方のアドバイスは、箸を「買う」のではなく「みがく」こと。最近、古くなった木箸をみがくサービスを始めたそうです。箸みがきは無料で、しかも他のお店で買った箸もOKという、懐の深いサービスです。さらに、自宅でも簡単にできるということで、箸みがきの方法まで教えていただきました。

最近人気の「縁起箸(えんぎばし)」。かわいい説明カード付。

 

箸みがきのイロハ

用意するもの……椿油、蜜ろう、柔らかい布1枚、タオル1枚、古くなった木箸

イ、柔らかい布に少量の椿油を含ませる
ロ、箸を1本とり、布でまんべんなく油を塗りこむ
ハ、蜜ろうを直接こすりつけるようにして塗る
ニ、タオルで乾拭きする。こする際の熱で蜜ろうの成分を浸透させる
ホ、もう1本の箸も同じようにみがいて完成

※ご紹介したのは木箸のためのお手入れです。漆塗りの箸の修理は自分では難しいので、銀座夏野のような専門店への相談をおすすめします。

 
簡単ですが、道具をそろえて黙々と箸をみがけば気分は職人。「箸っていうのはなぁ~」と、思わず熱く語っちゃいそうなテンションになります(私だけ!?)。5分後、箸は、こっくりとした茶色と本来のつやを取り戻していました。材質によって色の変化には差があるものの、「みがき」には乾燥した箸の油分を補う効果があるので、木箸におすすめのお手入れ方法だそうです。

私に箸の復活方法を教えてくれたスタッフの方が言いました。「たかが箸、されど箸。毎日使う箸を通して、暮らしを楽しんでもらえたら嬉しいです」。そういえば、母の口癖は「道具は使ってこそ生きる」。子どもにも大人と同じ器と箸を用意してくれたのも、そんな思いからだったんだなぁと、ちょっとしみじみ。

暮らしを楽しもうとすると、つい何かを「足す」ことばかり考えてしまいがちですが、毎日使う道具を大切にすること、その扱いを少しだけ丁寧にしてみること、それだけでも何かが変わるのかもしれません。世界中に箸を使う国はいくつもあるけれど、家族それぞれが自分の箸を持つというのは日本だけの文化だそうです。箸を選ぶことは、暮らしを選ぶこと。少し大げさかもしれませんが、美しくよみがえった木箸を見つめながら、そんな風に感じました。大好きな箸が戻ってきた今日は、いつもよりひと手間かけた料理を作ってみようと思います。

 

銀座夏野 小夏 青山店
東京都渋谷区神宮前4-2-17 1&2F
夏野青山店 
Tel.03-3403-6033
小夏青山店 Tel.03-5785-4721

月~土 10:00〜20:00、日祝〜19:00
アクセス:地下鉄「表参道」駅A2出口から徒歩約3分
http://www.e-ohashi.com/

*小夏はこども和食器専門店


筆者プロフィール

吉戸 三貴(よしど・みき)

PRプランナー

表参道在住の PR プランナー。古美術商の家に生まれ、小さい頃は壷に入って遊んでいた。本を読むのが大好きで、1歳半から 読書(絵本)が日課に。広い世界を知ってほしいという両親の願いで、バレエやピアノ、水泳など定番の習い事から、遺跡の発掘や和紙づくり、座禅など様々な体験をする(でも、なぜか自転車には 乗れないまま大人になる)。私立の中高一貫校に入り、イギリスのホームステイ中にチョコレート好きになり、食べ過ぎて丸々とした学生時代を過ごす。ロシアのバレエ団の舞台を見た感動が忘れられず、大学ではオペラ(西洋音楽史)を専攻。卒論のテーマはヴェルディの「ラ・トラヴィアータ (椿姫)」。

卒業後、実家のある沖縄に戻り、九州・沖縄サミット関連イベントや国際会議の仕事に携わる。留学試験に合格したことをきっかけに、奨学金を得てパリに留学。国際的な学生寮メゾン・ド・ジャポ ンで世界各国の素晴らしい友人たちと出会う。帰国し、国立劇場おきなわのオープンに関わった後、沖縄美ら海水族館の広報担当となり、コミュニケーションが持つ可能性に魅了される。

現在は、「環境」×「色んなモノ・コト」の可能性を信じ、表参道にあるPR会社オズマピーアールで環境を中心としたPR活動を行う。地球温暖化防止からエコなイルミネーションまで、幅広いプロジェクトに関わっている。

好きなものはチョコレート、カフェオレ。得意なことは乗馬、素晴らしい出会いに恵まれること、強運をいかすこと。苦手なことは走ること、車の運転。小学生の時に母から贈られた時計(ノーブランドだけどエッフェル塔がついてて可愛い) がお気に入り。加圧トレーニング、ゴルフ(練習中)、料理、美術鑑賞、家族や友人とのんびり……などして休日は過ごします。

(2010 年 1 月 29 日)

コメント / トラックバック 10 件

  1. まー より:

    お箸は毎日使っていますが、あまり深く考えたことがありませんでした。
    箸みがきなんてあるんですね。
    自分は割り箸をよく利用するので少し反省。
    これからはマイ箸使います。
    一つのものをメンテナンスして長く使うっていいですね。

  2. yoshido より:

    >まーさま

    コメントありがとうございます。そう、お箸って身近すぎてなんとなく
    使ってしまいがちなアイテムですよね。「ちょっと手をかけて大切に使う」
    私も、もっと心がけていきたいなって思います。

  3. ff より:

    何気に使っているマイ箸を思い浮かべてみました。
    磨きは入れないまでも愛着を持って大事に使ってたかな、色褪せてなかったかな。
    しまいには、何年使ってるんだろう。
    メンテナンスしながら長く付き合える「マイ箸」探してみたい気分になりました。

  4. yoshido より:

    >ffさま
    マイ箸、ちゃんと続けるってすごいことだと思います。
    人って自分で選んだたくさんのものでできていますよね。
    何を着て、食べて、どこで暮らして、何を持って・・・
    とか。私も、小さいことを積み重ねて、自分だけの
    ライフスタイルを探していきたいです。

  5. kk より:

    子どもに最初に持たせる箸、というのも大切に考えたくなりました。
    日本人として欠かせない道具だけに、上手に持つ・食べるということだけでなく、
    お手入れしながら感謝して使うという姿も伝えていけたらと思います。

  6. yoshido より:

    >kkさま
    私も小さい頃から両親に古いものを大事に使うということを
    自然に教えてもらったいたんだなぁと思っています。自分が
    気に入ったものを使うと、食事そのものも大切にできそうな
    気がしますよね。

  7. より:

    マイ箸、流行ってますよね。

    割り箸は間伐材を使っているとかいろいろ言われてますが、海外の木を使って薬品を使っているようです。
    結局間伐材を使っても、1回使っただけでゴミになるし、カッコ悪いなと。
    モノを大切に使う心、大切にしたいですね。そんなスタイルのほうがかっこいいと思います。

  8. yoshido より:

    >こ さま
    コメントありがとうございます。何が「eco」かは、考え方も
    実践方法も色々ですが、自分が続けられるものを楽しみながら
    ライフスタイルに取り入れていけたら素敵ですよね。

  9. ゆう より:

    エコスタイルやっと見れました!
    私もマイハシ使ってます。
    10膳1セットのものでしたが、
    黄色のかわいいお箸です。
    大切に使っていきたいと思いました。
    パンフは金曜日に送りま~す。

  10. yoshido より:

    >ゆうさま
    発見していただけてうれしいです(笑)
    早速3番目の記事「マルシェと食いしん坊の素敵な関係」も
    アップしたのでチェックしてみてくださいね!

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